TFT(思考場療法)の原点とその進化について ①〜その成り立ちと治癒の可能性〜
目次
- ○ TFTの原点〜診断テクニック〜
- ○ TFT診断テクニックと筋肉反射テスト
- ○ 個別のオリジナルレシピを抽出する
- ○ TFT診断テクニック(中級)の改善率
- ○ 「TFT(思考場療法)の原点とその進化について
〜中級テクニックと資格の内容②〜」へ続きます
TFTの原点〜診断テクニック〜
TFT(思考場療法)は1970年の終わり、キャラハン博士のクライエント出会った水恐怖症の症例がきっかけとなり、その可能性が発見されました。
この時点では、経絡の単発的なアプローチのみという方法で、さまざまなクライエントの症状に適応してみましたが、その効果はおよそ2%程度しかありませんでした。これがTFTのスタート地点です。
そこから、今現在のTFTの幅広い活用分野とテクニックに開発、分化するまでには、膨大な時間と症例が注がれてきました。
このTFTを開発する過程で、一番最初に確立したテクニックが、現在「TFT診断レベル(中級)」と呼ばれるものです。
TFT診断テクニックと筋肉反射テスト
この中級、診断テクニックがTFTの原点であり、それ以降に開発されたテクニックすべての土台となっているものです。
まだ現在のような症状別のTFTプロトコル(手順)が形になっていなかったTFTの発見当時、症状に対してどの経絡ポイントを、どのような順番で用いることがもっとも効果的に治癒に働くのか?を見出すために使われたのが、この診断テクニックです。
この診断テクニックの基礎として取り入れられているのが、「アプライドキネシオロジー」という手法で、筋肉の強度を触診することによって、心身の状態を診断し、治療方針を選択するための判断方法として、カイロプラクターのジョージ・グッドハートがカイロプラクティックをもとに、中医学の概念を取り入れて1964年に考案したものです。
体や心のバランスが崩れると、瞬時に筋肉の機能が低下し、個体にとって良いものに対しては筋肉が強く反応し、個体にとって悪いものには弱く反応するという性質を利用して心身の診断をする方法で、日本国内では伊藤聖鎬の命名により「筋肉反射テスト」と呼ばれています。
医療現場でも薬物療法の選択のめたに「Oリングテスト」と呼ばれるテスト法が使われますが、これも筋肉反射テストの一種です。
この「Oリングテスト」は手指を使い非常に簡易的にテストできる反面、使う筋肉が小さいため誤反応が出やすいとも言われています。
そのためTFTの診断テクニックでは、もっとも効果的に、もっとも誤反応が出にくい筋肉を用いて、反応をテストします。
メアリーの症例でTFTが発見されて以降、キャラハン博士はこの筋肉反射テストを使い、その個人に対して、その症状に対して、心身にもっとも効果的に働く経絡ポイントの組み合わせ、順序を見出し、そのデータを蓄積していきました。
すると、そこには個人の差異はありつつも、症状ごとにそのポイント、組み合わせに共通性が見出されてきました。
そこに見出された共通性、症状ごとにもっとも効果的な組み合わせと順序を集めたものが、現在「TFTアルゴリズムレベル(初級)」と呼ばれるテクニックです。
アルゴリズムレベルについては、また別の記事としてご紹介させていただきます。
個別のオリジナルレシピを抽出する
アルゴリズムレベルのテクニックが高い水準で確立し、問題の解除が飛躍的に容易になった現在も、診断テクニックはその価値を失っていません。
アルゴリズムテクニックは効果率として80%程度の場面で効果が認められると言われていますが、それでもやはり約20%のケースでは効果が現れないという結果に出会います。
それがアルゴリズムテクニックの限界です。
そこを突破するために、中級以降のテクニックが必要となりますが、アルゴリズムレベルから診断レベルの違いは、目標となる問題に対して、現在の状態像や解除の進み具合を把握することができるかどうかにあります。
アルゴリズムレベルでは、一定の解法があり、いくつかの公式を組み合わせることで、単発の症状以外にも応用できる範囲はかなり広いと言えます。
しかし、その公式を当てることによって、どこまで解除が進み、セラピーの途中で解除が進まない場合、どこで行き詰まってしまったのかが正確には確認できないのがアルゴリズムの弱点です。
とにかく、問題に対して当てはまりそうな公式を一つずつ試しながら問題をクリアしていくという、ややゲリラ的な改善の仕方となります。
最短距離で問題が解決することもあれば、読みが外れるとなかなか解除が進まず、非常に時間がかかってしまう場合も出てきます。
その点、診断レベルはその人の、その問題に対して、問題が解除されない理由、治癒が起こらない理由を一つずつ確認し、その都度クリアしながら、常に最短距離で進んでいきます。
アルゴリズムでは80%の効果率ですが、その過程は必要な手順と必要のない手順が混ざった状態を試しながら解除が進むので、必要/不必要を認識できませんが、どうしても余分な作業が一定割合は含まれてしまいます。
そこが診断レベルの場合は、目の前の問題に対して、その都度オリジナルの解除方法、いわばオリジナルのTFTレシピを見出し、最適解をその場で導き出すことがでるので、無駄がないわけです。
そして、そのレシピはその人だけの特別な公式としてクライエントにお渡しして、日常生活の中で自分だけのセルフケアレシピとして使っていただくこともできます。
TFT診断テクニック(中級)の改善率
このような理由で、アルゴリズムでは手の届かない問題に対してアプローチが可能であること、治癒までの工程が最短距離であること、オリジナルのTFTレシピが作成可能であること、などが中級診断テクニックのメリットとなります。
そして、初級テクニックであるアルゴリズムレベルの改善率は約80%に対して、中級テクニックである診断レベルは90%程度と言われています。
80%の改善率でも決して低い数字ではありませんが、やはり分母であるケースの数が増えてくるほど、アルゴリズムレベルのテクニックでは対応できないケースも増えてきます。
中級や上級テクニックを習得したから、初級テクニックを使わなくなるかと言えばそうではなく、やはりその簡易さと80%の改善率という魅力は失われませんし、むしろTFTの基盤とも言える中級テクニック、そしてTFTの適応可能性の全体像が見える上級テクニックを習得することで、初級テクニックをより効果的に利用することもできるようになります。