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次世代の量子的セラピー「TFT(思考場療法)」について

 

 

目次

TFT(思考場療法)とは?

1980年代半ば、まだ心理学や精神医学の学会では”恐怖症は治癒しない”と信じられていた当時、『Five Munute Phobia Cure(5分で恐怖症を治す)』という書籍がTFTの開発者ロジャー・キャラハン, Ph.D.(心理学博士1925-2013)によって出版され、注目を浴びました。

当時、精神疾患の治療として行われていた精神分析、行動療法、認知療法など、主流の心理療法や精神療法を用いても恐怖症が治癒するということはほぼありませんでした。

その時代に、決して誇張ではなく、実際に5分で恐怖症が治癒するという結果を起こし、恐怖症以外の症状にも適応できる技術として発展させ、科学的研究と同等の再現性を確立させた驚異的なテクニックがTFT(思考場療法)です。

偶然の奇跡〜TFTの誕生〜

世にある非常に効果的な療法やこれまでの医学・科学の画期的な発見は、往々にして偶然の重なりから生まれています。

TFTの誕生もその例にもれず、セラピーの現場で起こったある氣づきがもとになっています。

それが書籍『TFT療法入門』でも紹介されている有名なエピソード、1970年代の終わり、メアリーの症例です。

日本では珍しいケースですが、キャラハン博士のもとにセラピーを受けにきていたメアリーは、水に対する強い恐怖があり、自分がシャワーをすることや、子どもをプールに連れていくことなど、日常のあらゆる場面でその恐怖に直面しなければいけないほど、重度の水恐怖症を抱えていました。

キャラハン博士との行動療法を用いたセラピーを通して、なんとか以前より多少は水に近づくことができるようになりましたが、それでもやはり水に対する恐怖、不快感は軽減したわけではありませんでした。

キャラハン博士は当時、心理療法の一つの主流であった行動療法、認知療法を中心にしたセラピーを提供していましたが、その他にも身体にアプローチするテクニックにも広く精通していました。そこにはカイロプラクティックの一種であるキネシオロジーや、鍼灸の基礎である中医学や経絡理論なども含まれていました。

メアリーはセラピーの中で、水に対する恐怖心を感じているとき、同時に身体的な不快感として「胃がムカムカする」という症状があることをキャラハン博士に報告しました。

そこにキャラハン博士の氣づきが生まれたのです。

胃は中医学、経絡で言えば、目の下のポイントに対応しています。
ならば、目の下を刺激することで、胃の不快感とそこにつながる恐怖心にアプローチすることができるのではないか?

キャラハン博士はその場で、「目の下を指で少し刺激してもらえないか?」とメアリーに伝えました。

メアリーは不思議に思いながらも自分の指で目の下を数回刺激し、すぐ自分の中で何かが変化したことを感じました。

そして、その変化を確かめるために自ら水に近づき、水を触りました。そこにはすでに恐怖はなかったのです。

メアリーは言いました。
「先生、私はもう大丈夫です。怖くありません」

これがTFTの開発研究につながる、最初の出来事でした。

TFTテクニックの開発〜経絡と症状のアルゴリズム〜

メアリーの劇的な変化に驚いたのは本人だけではなく、それ以上にキャラハン博士を驚かせました。

何が起こったのかすぐには理解できませんでしたが、何か”とても素晴らしいこと”が起こったことだけはわかりました。

当然、この発見は他の人にとっても素晴らしい変化をもたらすものではないかとキャラハン博士は考え、すぐに他に相談を受けているクライエントの方たちにも試してもらいましたが、メアリー以外に劇的な変化が見られたのは割合にして2%ほどでした。

しかしこれは、メアリーと同じ方法、つまり胃の経絡に当たる目の下のポイントを刺激するという方法を使ったときの結果です。

経絡は体を縦に流れる経脈と、横に流れる絡脈とあり、一般的に「経絡」と言われるのは正経と呼ばれる12の経脈を指します。そこに体の中心を前後に流れる任脈と督脈、そして脾の大絡と言われるものもあります。メアリーの症例で起こった変化はそのごく一部を用いただけで起こりましたが、まだ他の経絡を組み合わせた膨大な可能性がそこに眠っていました。

そこからキャラハン博士の研究、開発が始まり、少しずつ経絡の組み合わせと症状の関連性が明確になってきました。

何千、何万という試行と研究ののち、”トラウマの症状にはこのポイント、この組み合わせがもっとも有効に働く”、”不安やパニックの症状にはこのポイント、この組み合わせがもっとも有効に働く”・・・といったように、症状ごとに対応する経絡のポイントと組み合わせや順序がアルゴリズムとして人に共通して存在することが判明してきました。

その結果の集積、さまざまな心理技術をひとつのテクニックにまとめられているものが、今現在、TFT(思考場療法)と呼ばれています。

米国政府機関に認められたTFTのエビデンス

TFTは現在、世界中のあらゆる場面で使われていますが、もっともその価値を評価された場所の一つがルワンダです。

ルワンダは1994年に隣国ブルンジとともに大統領の暗殺を機に、ルワンダ愛国戦線(RPF)が両国を制圧するまでの100日間に、フツ族系の政府とそれに同調するフツ族過激派によって、ルワンダの10〜20%にあたる100万人近くのツチ族とフツ族穏健派が殺害されるという、歴史的に非常に悲しい過去を持つ国です。

その事件の中で、亡くなった方だけでなく、身内や身近な人を目の前で亡くしたり、自分自身の命の危険を体験したことで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という深刻なトラウマ症状を抱える人が後を断ちませんでした。

そこに支援に入ったのが、米国にあるTFT財団所属のTFTセラピストで構成されたボランティアチームでした。

その支援の中では、セラピストが直接的な支援を行うだけでなく、現地のコミュニティリーダーにTFTのテクニックを伝え、それぞれのコミュニティに持ち帰ってもらうことで、それぞれのコミュニティの中で活用し、家庭や学校、地域の場で一人一人のトラウマに関わる苦痛のケアをおこなうという、ピアサポートの形で活用されました。

その結果、直接支援をはるかに超えるスピードでケアが広がり、2004年から支援活動が始まり、2016年の文献で報告された時点で2万人以上の人がTFTによるケアを受けられたと言われています。

この財団の活動とトラウマケアの実績としての報告が米国内でも認められ、2016年には正式にトラウマケアの技術としてエビデンスのあるテクニックとして、政府機関によって認定されています

まとめ〜進化し続けるTFT〜

いくつかの偶然が重なり、今では世界中で計り知れない貢献をしているTFT、そのきっかけとなったメアリーの症例で、もしその場で効果が発見されなければ、今この世界にTFTが生まれていなかったかもしれない。

水恐怖症が治癒したメアリーは、その後は水に対する恐怖が戻ってくることは一度もなく、その体験をのちに米国のTV番組で語っています。

恐怖症のケアに始まったTFTは、その後のキャラハン博士の研究により、トラウマの影響、怒りや不安などのさまざまな感情、パニック発作、うつ状態、強迫症、依存症、身体疾患に伴うものも含めた身体的疼痛、ポジティブイメージの強化など、人の心に対して、その心が引き起こす身体症状、身体疾患に対してもアプローチすることができるように進化してきました。

この数年では、さまざまな心身トラブルの背景に存在する愛着の問題に対して、効果的なポイント、組み合わせが開発され、まだまだその可能性を伸ばしています。

精神疾患にたいする精神療法や心理療法、身体疾患へのメンタル面からのアプローチとしての効果はもちろん、それ以外の社会的な場面で適応される分野は幅広く、震災などの災害支援、企業の人材育成への応用、アスリートのパフォーマンスアップ、ペットや競走馬などの苦痛緩和まで、生活のあらゆる側面でよりよい人生をサポートするために利用されています。

当施設では、心理療法、カウンセリングのメインテクニックとして、また身体疾患の原因となる無意識領域へのアプローチや人間関係の改善など、多様なニーズにお応えするために、TFTを用いたセッションを提供しています。

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